あるスキャンダルの覚え書き
イントロダクション
イギリスの優れた文学に与えられるブッカー賞の2003年最終候補に残り、
イギリスとアメリカ両方のベストセラー・リストに載ったゾーイ・ヘラーの
「あるスキャンダルについての覚え書き」。
大手映画会社から独立プロダクションまで激しい争いが繰り広げられた映画化権を
「アイリス」や「めぐりあう時間たち」で文学の香と演劇を見事にミックスさせた
スコット・ルーディンとロバート・フォックスのコンビが獲得。
原作を読んだルーディンは、バーバラを演じられるのはジュディ・デンチしかいないと
確信していた。「恋におちたシェイクスピア」でオスカーを受賞したのをはじめ、
数々の演技賞の輝くデンチは誰もが当代きっての女優と認めるところだ。
物語の非常に主観的なナレーターを務めながら、その言動に信頼性がまったくないどころか
悪意すらにじませる老女バーバラをデンチが貫祿たっぷりに演じている。
そのデンチと堂々と渡り合える女優としてシーバ役に抜擢されたのがケイト・ブランシェット。
平穏な家庭生活を営むなかで、子宝にも恵まれたが、人生に意義を感じることも
自分に自信を持つこともできず、40歳を過ぎても自分を探し続けている最中のシーバ。
ふとしたきっかけでスタートした不倫にのめりこみ、身動き取れなくなっていくキャラクターを
ブランシェットは、繊細さと大胆さを絶妙に配分した演技で血肉を備えた人間として
存在させている。
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